同じ靴を履いてる

生活について

新宿と偶然と夏の匂い

降る、降ると言われていた雨も東京西部の空はなんとか保ちそうな気配だったので、自転車で最寄り駅まで走らせて何となく新宿へ向かう。特に何か目的があるわけではなかったが、久しぶりに気温が多少落ち着いていることもあって、どこか外へ出たい気分だった。10時。イヤホンから日曜天国。曇天だけど気温はこれくらいの方がむしろ夏らしくていい。TBSのある赤坂では超ド級の豪雨とのこと。電車に乗って東へ。雨が降っている地域に傘なしで向かう。

電車を降りたら運良くちょうど雨上がりの雰囲気。そうそう、つってニトリに向かう。欲しいカーテンが自宅近くのニトリになかったので、新宿にあったら買っちゃおうと思っていたのだが、残念ながら新宿店でも取り寄せ品とのことで、それだったらもうネットでいいや。過ごしやすい気候であるにも関わらず、やはり新宿は外を歩く気にならず地下移動が中心。新宿の街の雰囲気が苦手で、しかし東京西部に住む映画好きとして新宿はどうしても避けて通れない街であり、なるべく表を歩かないようにするために、迷宮などと喩えられる新宿地下通路を攻略するに至った。目的があれば覚えられるものだ。

あらら、もうすることねえなって、代々木寄りのラーメン屋で昼を済ませ、じゃあもう、帰りますか。サブナードの入り口のところで偶然知人に出くわしたらしい30代前半くらいの女性が、飛び跳ねて偶然にばったり、を喜んでいるのを見て、こちらも喜ばしい気持ち。俺も飛び跳ねて喜ぶような偶然ばったり、したいよねえ。

来た電車に乗って最寄り駅へ降り立つと、ちゃっかり晴れている。何にもない日に降り注ぐ柔らかい陽光。自転車に乗って、まっすぐ家に帰るのも違うよなって、適当にその辺を自転車でぶらぶら。マスクを取って顔に風を受けると、夏の匂いがした。笑っちゃう。うふふ、なんつって。心がるんるんるんるん、しちゃったりして。30度少々だろうか、これくらいの気温の方が、猛暑日よりも却って夏を感じられるものだ。心地いい風にシャツが膨らんでいる。そうやって20分、30分、さすがにずっと自転車を漕いでいると暑くなってくる。おとなしく帰宅して明日も晴れそうなので靴を洗う。洗濯洗剤をまぶしてブラシでこすったがあまり白くならない。でもまあ、いいか。夏だし。日曜日だし。そういう心の余裕があるコンディションだし。心が荒んでいたとしたら、洗っても白くならないことに腹を立て、泣き出してしまうような状況になってもおかしくないからな。好日。コンディションがいい。

本格的に荷造り。とは言っても持っていくものも多くはないので、速攻で終わる。この空間最後の日曜日であることを想うも、特に感慨も感傷もない。それがどんなに些細なことでも、明確に前を向いて行けるというのは良いものだ。猫にはしばらく会えなくなるな。そのことだけが気がかりです。なんにもない日曜。なんにもない文章。