同じ靴を履いてる

生活について

ブレスオブザワイルドと花束みたいな恋とパズドラ

ブレスオブザワイルド。だいたい100時間くらいプレイして、とりあえずラスボスを撃破し、一応エンディングを見た。文字通り一応エンディングを見た程度のもので、メインクエストも終わっていないものもあるし、その他細かいところを挙げ始めたら、まだ10分の1も終わっていないような気がする。

本当はそれ単体で感想を書ければいいのだけど、アクションゲームについては64以降まともにやり込んだゲームもなく、ゼルダシリーズ縦軸の比較はかろうじて出来たとして、横の比較がまったくできないので、ただ激烈に面白かったとだけ。そしてまだその面白さの、おそらくは上澄みの部分しか味わえていないのだろうなという奥行きがあり、結局クリアしてからも毎日ハイラルをうろうろと徘徊している。

それにしても、ここまでシンプルなストーリーで、ここまで複雑なことを語ることができるのかという強さ。そしてその複雑さというのは、ゲームをプレイすることでしか得られない体験に基づく類のものであり、マジで、ほんともうマジで尊すぎて恐れ入る。エンディングでゼルダがリンクに放つの一言。この一言だけでゲーム全体を語り切れるくらいの超名台詞がある。その超名台詞を超名台詞として受け入れるためにはまだ冒険を続ける必要があるため、これからも暫くは抜け出せそうにない。

とはいえ延々とゼルダだけと遊んで日々が終わっていくのもさすがに、ということもあって。しかしながら東京は緊急事態宣言下で遠出するのもどうかという状況の中、久しぶりに映画を観に行った。昨年末にワンダーウーマンの続編を観てから以来なので約1ヶ月ぶり程度。昨年の緊急事態宣言時に2ヶ月ほど映画が劇場で観られない期間があったが、特にそういった事情もなく映画館に1ヶ月間も行かなかったこと、何年振りだろうか。思い出せるのは2017年、引っ越し前後のバタバタで、その時も1ヶ月くらい期間が空いていた。久しぶりの映画というのは、その映画の良し悪しに関わらず覚えているもので、2017年の時は「22年目の告白」だった。今回は。特に前評判は気にせず、菅田将暉有村架純が主演している恋愛映画「花束みたいな恋をした」。すっげえタイトル。俺なんかがよいのでしょうかという気持ちもあったが、ハードな作品からいくよりは、いったんラブストーリーなんかどうかしらんって気持ちで。ところがなかなか、これが傑作で。

冒頭はモノローグがうるさい感じもあり、ベタベタあまあまな演出と、そんなわけあるわっしゃいや、あるっしゃいわいや、ハー! 何て言う。ところが舵の切り方が上手く、結構サッパリと観させていただける。「オタクの恋愛もの」という題材はコンテンツにしやすい部分もあって、再三に渡って映画やらアニメになったりするのだけど、特に実写映画でその手のジャンルをやる場合、オタク像をデフォルメしすぎてしまっていて、基本的に最悪な作品になってしまう場合が多い印象があるものの、今作はそういう「オタクの恋愛もの」としては割といい温度感だった。もっとも劇中でも宣伝でもオタクというワードが用いられているわけではないし、そこをターゲットにした恋愛映画という感じでもないけれど。

基本的にはよかったし、すごく好きな映画だったと前置きした上で一つだけ。麦くん(菅田将暉)はイラストレーター志望で実際にそれでお金を得てはいるものの、なかなかそれだけで食っていけるような稼ぎにもならず、絹ちゃん(有村架純)との同棲生活の維持のことも考えてサラリーマンとして就職することなるのだけど、そのサラリーマン生活の中でかつて好きだった小説や映画、音楽等に対しての熱量が維持できなくなっていくという描写ありまして。これ、どうなんだろうか。いや映画だから、そういうドラマがないと成立しないことはよくわかるのだけど、序盤のオタク描写の具合がよかった故に、あんなに好きだったものをそんなに簡単に手放せるのかな、という違和感がノイズになってしまった。オタク描写、よかったんですよ。いわゆる紋切り型の、なんだかしどろもどろで吃りながら話すようなオタク像ではなく、好きなもののことを本当に楽しそうに話す様子がすごく良かっただけに引っかかってしまった。その人の根っこの部分まで変えてしまうような過酷な労働環境であるとか、その手の社会問題にメスを入れる類の映画でもないので、その点だけは少し残念なポイントだった。しかしそのような展開があったからこそ生まれた「もうパズドラしか出来んのよ!」という名台詞も。無思考で楽しめるコンテンツの最果てとして、パズドラという具体的な名前を出して叫ばせるセンスは光っていた。小品ながら良い映画だったので、洋画の大作も公開されていない今、是非。

そうやって午後2時過ぎ。ありがたい感じに晴れている。どこか行くのも違う感じがして家に帰る。暖房をつけたほうがいいのだろうなという寒さを感じながら、膝掛けを装備してハイラルの世界へ向かう。そう言えば、「花束みたいな恋をした」の中でもブレスオブザワイルドが出てきていた。俺の方が全然、進んでいた。