同じ靴を履いてる

生活について

飲酒と財布とムーンライト

ほとほと困ってしまっているのは、財布をなくしたからである。

朝、目を覚まして宿酔の頭が重く、ただ早めに予約を入れておかないと席が埋まってしまうということで、今年アカデミー賞を受賞した『ムーンライト』の座席購入手続きをしているとき、それに気付いた。本来財布が入っているバッグの中に、粘着テープが入っていた。一体何がどうなっているのか。

一昨日、朝方まで飲み明かし、猛烈な酒気と睡魔に勝てず、近くの公園、つか芝ゾーン的なスペースで倒れ込むように眠り、あまりの寒さに数時間で目を覚ましたときでさえ、財布はなくさなかったというのに。

 

土曜の午過ぎ、女の方から飲みに行こうという誘いがあった。映画の日、ということで、この日は3本くらいまとめて面倒みようじゃねえの、という意気込みであったのだが、この好機を逃すまいと『レゴバットマン ザ・ムービー』だけを鑑賞し、勇んで現場に向かった。映画の日は毎月やってくるが、女から誘われることはそうそうあるものではない。

 

とりたてて話すようなこともないが、ある程度楽しんで帰って来て、翌日財布がないことに気付いた。

近場で飲んでいた為、どこかに落としたということも考えられず、おそらくは店に忘れて来たのだろうと思うが、日曜休業のため確認が取れていない。非常に不安である。まさか中身まで無事で帰ってくることは期待出来ないが、せめてカードや証明書がないと厳しい。現金にしても、その日に限って3万ほど入れていて運がない。普段はあまり現金を持ち歩かないと言うのに。

 

それでも『ムーンライト』を観に行く。とても良い映画だった。とても良い映画を財布がない状態で観たくなかった。映画館にいる人も、電車の中の人も、まさか僕が財布を持っていないとは思うまい。これが4月1日であったなら「財布を持っている振りをして実は持っていない」という嘘をつき続ける存在に慣れたと言うのに、そのあたりも勿体ないところである。

 

とりあえず、僕の財布を持っている人がいたら早く返して下さい。困るので。