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テン年代の映画ベスト10 海外映画編

こちらの記事で日本映画のベスト10を作成しましたが、今回はその続き、海外映画編です。アニメ映画については別でまとめる予定なので、日本以外の実写映画で、2010〜2019年中に日本国内で公開された新作映画が対象となります。予告編を貼っておきますので、興味があればご覧いただき、何らかの方法で鑑賞していただけますと幸いです。それぞれの作品でひとことコメントは入れますがネタバレはなしです。それでは早速。

 

10位 エクスペンダブルズ2(2012年)

 シルヴェルター・スタローン、ジェイソン・ステイサムジェット・リードルフ・ラングレンブルース・ウィリスアーノルド・シュワルツェネッガーチャック・ノリス、そしてヴァンダム。頭おかしいんか。2012年にオイ、頭おかしいんか。2010年代に3作公開されている当シリーズ、キャスト的にも本作が一番テンションが高く、見せ場もたっぷりだった。何よりもヴァンダム。その男ヴァンダムなんか製作している場合じゃないっつーの。これよ。アンタはこっちなのよ。2012年にエンニオ・モリコーネの旋律に乗せてチャック・ノリスが登場し、スタローンとヴァンダムがサシでやりあう。これはもう、意地でもランクインさせたい一作。とはいえキャストだけでランクインさせているわけでもなく。この手の脳筋アクション映画としてはかなり脚本の水準も高く、アクションもかなり整理が行き届いていて観やすいのはポイント高い。大真面目に脳筋映画を作れば、こんなにいい映画ができるというお手本。

 

9位 ムーンライト(2017年)

アカデミー賞、とったのかな。確かラ・ラ・ランドと競って。いまやその製作会社名だけでちょっと観てみようかなと思わせられるA24製作。

シャロンという男の、少年期、青年期、壮年期を映す3部構成になっている本作、それぞれのシャロンを演じている俳優の佇まいがとくかく良くて。他人の理解を拒絶するような眼をしながら、しかし確かに存在する、承認を請うような表情。あまりの遣る瀬無さの中に光が見えるラスト。やり直しの効かない過去に未来を観てしまう哀しさと希望。少し音楽の使い方に関して気になる部分はあったりするのだけど、この映画が持っている全体を通じてのトーンというか、とにかく好きな映画だった。

それにしても本編に反して予告編、本当にセンスなくて笑っちゃうな。

 

8位 哭声/コクソン(2017)

韓国映画枠として1本くらい入れたくて。それで2010年代さらってみて、やっぱこれだなっていう。神、天使、悪魔、預言者が韓国の田舎にズラリ。これ、かなり難解な映画というか、おそらく意図的にわからなく(わかりにくく)している部分もあるとは思うのだけど、その辺は一旦さておいて、映画のテンションがずーっと良い。主軸になるのはいわゆる犯人探しのサスペンスなのだけど、その中に霊能バトルがあり、会話劇があり、スペクタクルがあり、ようするに多義のアクションがある。そういう全部盛り、マシマシ系映画なのにも関わらず、スマートにまとまっちゃっているのが強い。こちらにすりよってくるような笑えるシーンもあれば、唐突に突き放されたりして、映画の一挙手一投足に翻弄されてしまう、そんな体験ができる稀有な映画。

 

7位 ピラニア3D(2011年)

エクスペンダブル2が脳筋映画ならば、この映画は本来脳があるべき場所に「脳」と書かれた血まみれの立て札が挿してあり、その裏に女性器の落書きがされているような、ようするにバカとエロとゴアで成り立っている偏差値5くらいの映画なんですけど、そういう映画を偏差値70くらいの優秀な人間が撮っている感というか、とにかくめちゃくちゃ丁寧な低偏差値モンスターパニックエロゴア(なにそれ)映画で。たぶん観たことない人も内容を知っていると思います。そしておおよそ、その通りだと思います。それでも観る価値のある映画だと断言できるくらい丁寧な仕事を拝めるんだからありがたい。

 

6位 ドント・ブリーズ(2016年)

盲目の老人の家に忍び込んで金銭かっぱらおうぜって軽いノリで侵入したらマジでやべえ退役軍人でしたっていう。視覚奪われている分、聴覚が異常に発達していて、この「音を出したら終わり」感が、映画館で見ることによって強烈な恐怖になる。「盲目の老人×密室」っていう、ぶっとい斬馬刀一閃。映画館で映画を観るっていうよろこびが凝縮された最高の映画。

 

5位 スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団(2011年)

エドガー・ライト監督作としては平成映画のベストテンをつけた際にはベイビー・ドライバーを入れたので今回は。映画の内容は振り切ってポップで、終始コミカルなノリではあるのだけど、意外と描かれていることは超真っ当な恋愛映画というか。邦題になっているように、ヒロインの「邪悪な元カレ軍団」と戦う話ではあるのだけど、それはつまり原題の通り「vs. the world」であるという。これ、強烈にダサいんですけどね。本来彼女の元カレと戦う必要なんてないし、そんなこと気に掛ける必要もないんだけど、それでも戦っちゃうだっせえ人間のだっせえ寓話。とにかく元カレ軍団との戦いのアイデアが面白いし、主人公はリッケンバッカーでFFシリーズの戦闘BGMのイントロを弾くし、アイテムをゲットするとゼルダの伝説のSEが流れる良い映画。

 

4位 イコライザー(2014年)

いわゆるビジランテものというか、警察の力を借りず個人で悪を裁くアクション映画なんかは数多あれど、ここまで突き抜けてしまった映画というのはそうそうないんじゃないか。エクスペンダブルズ2にせよピラニア3Dにせよ、散々擦られたそのジャンル映画を今、丁寧に描くことは非常に意義があることだと思うのだけど、この映画は散々擦られたジャンル映画を丁寧に擦り直すことで、なんか向こう側に行っちゃっている感すらある。予告編では「19秒で悪を裁く」とあるけれどこれは誤りで、「悪を裁くのに19秒も掛かってしまった」というニュアンスです。イっちゃっている。凄まじいのは「3日後、モスクワ」。どのシーンでそれが見られるのかは、実際に確認してほしい。

 

3位 人魚姫(2017年)

チャウ・シンチー監督作。僕はチャウ・シンチーのファンなので。

すくなくとも2010年代に映画館で見た映画の中では一番笑ったし、劇場内の笑いの総量も凄まじかった。最初笑いすぎて全然内容が入ってこなくてもう一回観に行ったら、同じところでめちゃくちゃ笑ってしまった。相変わらず暴力シーンはエグいのだけど、そのエグさを半魚人という、(おそらく生身の人間より生命力の強そうな)ファンタジーな存在に託していることによってポップさも相俟って、すごく良いバランス。タコ兄のシーンが白眉。何度見ても笑っちゃう。

 

2位 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年)

すみません、正直なに書いて良いかわからないっつうか。もはや何が良かったのかすらよくわかってないつうか。でも最高。映画館を出た後、しばらくずっと笑っちゃう感じの、そういう最高な映画なんですけど、最高以外の語彙が死んでしまっているのでこの最高さをどのように形容していいのかわからない。もう映画の最後の方なんか笑い声我慢するのに必死で、じゃあ何がそんなに笑っちゃうのかも本当はよくわかってないっていうか。だからめちゃくちゃ無責任に、この映画最高なんです。

 

1位 マッドマックス 怒りのデス・ロード


たしか2014年の末だったと思うのだけど、映画館で見たこの映画の特報。いやマッドマックスみたいな映画じゃんと思って見てたら、そのマッドマックスシリーズだったっていう。マッドマックスの旧三作にそこまで強い思い入れはなかったのだけど、予告編から感じられるかぐわしい傑作臭というか、それがもうビンビンに伝わってきていて、そうなると基本的には期待通りか裏切られるかの2択になるわけですけど、この映画については期待よりも大幅に、いやここまで大幅に!?っていうくらい大幅に超えてきてしまっていて。

もちろんある側面において、という前置きはしなければいけないものの、映画の全部じゃん。映画の全部じゃねえかっていう。もう今更僕がいうまでもなくっていう地位にある映画ではあるけれど。

 

 

というわけで、テン年代の映画ベスト10、海外映画編でした。すでに書いた日本映画編、これからあげる予定のアニメ映画編も、もちろん10本に絞ることは相当困難ではあるのだけれど、海外映画が一番厳しかった。ハナ差30位くらいまである。どうかしている。

入れなかった映画について書くのはアレですけど、自分でもMCUから1本も入っていないことにびっくり。テン年代とはMCUの時代だったとも言えるだろうし、自分としてもそのくらい楽しみに見ていたのだけど。

次回はアニメ映画編を近日中にアップします。