テン年代の映画ベスト10 アニメ映画編
例のごとく、2010〜2019年に日本国内で公開された新作映画が対象です。予告編を貼っておきますので、興味があればご覧いただき、何らかの方法で鑑賞していただけますと幸いです。それぞれの作品でひとことコメントは入れますがネタバレはなしです。それでは早速。
10位 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語(2013年)
テレビアニメシリーズはちょうどアニメをあんまり見ていない時期に放映されていて、そんなアニメをあんまり見ていない僕にも轟いてくる評判につられて見てみたのだけど、わ〜面白いと思う一方、正直そんなに好きにはなれず。それから暫く経ってのち、テレビシリーズの記憶も怪しいままに何となく見に行ったら殴られちゃった。外連味たっぷりの演出が意外にも映画館のサイズにぴったりフィットする映画だったというか、製作陣も劇場映えというのを意識的に狙ったのかもしれない。映画の内容ったらほ
、ほむらちゃん!!ってなっちゃうやつで。テレビシリーズの記憶が曖昧だったことが寧ろプラスに作用した感じもあり、好きな映画でした。
9位 たまこラブストーリー(2014年)
なんか、光り輝いてんだぜ。アニメっていうのは何から何まで人の手で管理された映像であって、だからこそ時に、実写のそれを超越してしまうほど、登場人物の息づかいが生々しく感じられ、自然の生命力が漲る瞬間がある。テレビシリーズの延長ということで、どうしてもキャラに頼らざるを得なくなりがちであるため1本の劇場映画としてはハンデになりうるはずなのに、そんなこと微塵も感じさせないアニメとしての強さがある。なんか、光り輝いてんだぜ。マジで。たまちゃんが告白されるシーンなんかこっちまで恥ずかしくなっちゃう。京アニ、あんなに最悪な事件に巻き込まれてしまったけど、これからもほんとよろしくお願い致します。
8位 おまえうまそうだな(2010年)
草食恐竜の赤ちゃんが肉食恐竜に育てられてっていう話、原作は絵本、この作者だと子供の頃に「おとうさんはウルトラマン」とかは読んだことあったな。映画の冒頭、卵を奪いに襲いかかる恐竜の群が別の恐竜にあっさりと踏み潰されるシーンで、この映画のリアリティラインをはっきり表していて、結構えげつない描写も多いのだけどそれが当たり前のこととして描かれているあたり、子供向けアニメとしてとても好感が持てる。「なりたくなくてもなってしまう」「なりたいけれどなれない」そういった者に対して、その者のありのままを肯定するような福音が響くとても良い映画。
7位 インサイド・ヘッド(2015年)
ピクサーやディズニーのアニメについては、CGのクオリティーはどの作品も震撼させられるレベルなのだけど、ストーリーに乗れる乗れないが作品によってパックリ分かれてしまう部分もあり。本作はひとりの女の子の感情という超ミニマルな話にすることで、寧ろ誰しもに引っ掛かり得る強烈なフックが生まれていて、そしてこの超ド級のクオリティー。何の文句もねえですよ。あえていうなら映画はじまる前に流れたドリカムのアレ。ドリカムが悪いわけでも、ドリカムの楽曲が悪いわけでもないですが。たぶん配信やらソフトで見る場合は収録されてないと思うのでそれなら完璧。ヨロコビの声優は竹内結子って哀しいぜ。とにかくビンボンに会いに行こうぜ。
6位 プロメア(2019年)
トリガー製作、今石監督、中島かずき脚本っていう座組みで当然期待しちゃう訳ですけど、期待よりずっとよかった。このワクワク感。上映時間2時間弱の中で、いったいどこまで風呂敷を広げるんだ?というくらい次から次へと話が展開してゆき、それに呼応するように盛り上がり、テンションが上がり続けていくアニメーション。シンプルに楽しさということに振り切ったアニメだったら、これはもう優勝しちゃってるんじゃないか。他、強烈によかったのは声優・堺雅人。最高の声芝居だった。
5位 スパイダーマン スパイダーバース(2019年)
これがまたプロメアと同時期に公開されているのが感慨深いよなあ。3DCGアニメにおいて、ディズニーやピクサーとはまったく違うアプローチで写実的なアクションをここまで展開できる。なおかつ写実的であればあるほど実写との乖離が心地よく、映画を見ている時の多幸感たるや。スパイダーマンシリーズの歴史の長さと、ある意味とっちらかってしまっている様々な展開や亜種を一堂に会させてしまい、それも含めてまとめ上げちゃう。つええ〜。東映版スパイダーマンまで出てきちゃう。ほええ〜。
4位 ひつじのショーン 〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜(2015年)
クレイアニメって、好きなんだよねえ。子供の頃はピングーのビデオを文字通り擦り切れるまで見ていたもんで。あとはNHKでやってた(今もやってる?)ニャッキとか。もう少し広げてストップモーションアニメっていうカテゴリーにすると2010年代も強烈な傑作が揃っていて。クボとかレゴムービーとか。でもやっぱこれ、ひつじのショーン。アニメはもちろんのこと、話自体がスーパー面白いのよ。ベイブ都会へ行くよろしく仲間だってできるし、コメディシーンはアニメならではの笑わせ方で品が良い。当時は豊島園で見たのだけど、子供にも超ウケてた。続編であるUFOフィーバーも最高に楽しかったし、このシリーズはずっと続けて欲しい魅力がある。
3位 この世界の片隅に(2016年)
戦争があって、その前に生活があった。踏みにじられても、それでも生活がある。一発で戦争映画のニュースタンダードになってしまうような、お分り頂けるだろうか。精緻なアニメーションと、美しい風景と、途方もなく手厳しい無道と、それでも首肯する、首肯し続けなければ続かない危ういバランスで保たれている日常が輝いている。泣き崩れるすずさんから南瓜の花へのパンはもう、映画史に残る芸術的なパンだと思し、今も思い出して救われ続けている。
2位 風立ちぬ(2013年)
宮崎駿の8 1/2 じゃんね。ひとつの矛盾を、ここまで純粋に描けることってある? すんません、なんも書けねえです。
1位 かぐや姫の物語(2013年)
絵がですね、動くんですよ。絵が、動くんですよねこれが。オイ大丈夫か。たぶん大丈夫じゃないんだよな。この映画を見て大丈夫でいられる人ってそうそういないんじゃないか。話、竹取物語っすよ。あの教科書で読んだ竹取物語がこんなんなっちゃう。脚本、音楽、アニメーション、演出、すべてにおいてマジでいかれてんのかっていうラスボスみたいな映画で、これを監督した人、高畑勲っていうん方らしいんですけど、すごい人なんでしょうねえ……。
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というわけでアニメ映画編でした。結果的に海外映画が少なくなっちゃってさみしい感じもあるし、最後の方は疲れちゃって、つか2位と1位についてはきちんと書こうと思うと語彙が追いつかないよっていう。
それにしてもやっぱりアニメってすごいな。これからもよろしくお願いします。