同じ靴を履いてる

生活について

中目黒と池袋と魔女見習いをさがして

おしゃれな街の代名詞たるやって、中目黒を散歩する。川沿いに北上し、池尻大橋から神泉を経由して代々木八幡、バス乗って帰ろうかと思ったが帰ったってすることも特にないのでそのまま小田急沿線を歩き続け、参宮橋、南新宿をぶち抜いて新宿駅へ。マジに何にもなく、ただ歩いている。帰りは新宿三丁目から電車。車内、女子高生の間では最近は丈の短いソックスが流行っているようで、学校帰りらしい彼女、学校指定のソックスの丈が気に食わんのか、小学校の時によくやったようにソックスの口ゴム部をクルクルとおろし、アダムスキー型の円盤をくるぶし上部に生成していて、流行を追いかけるあまり根本的なダサさには気がつかないものよなと思ったが、彼女がそれがおしゃれであると感じているのであればそれでいいのだよな。ファッションたら難しいよね。

家に帰ったらちょうど競馬中継をやっていて、金はかけずにレースを見る。ずいぶん日が沈むのが早くなった。ベランダから見える空。ラインのトークルームと同じ色をしている。それに夕日のグラデ。こんなにきれいな空を見ている俺の首は全然治らないしどうなってんですかねえ、つって肉を味噌ベースのタレに漬け込んでゴー。スニーカーをつっかけて、ちょっと目を離した隙に外、暗くなっちゃって。自転車に乗って行くあてもなく周辺をうろつきながら、マスクの下でお気に入りの曲を口ずさんだりして。土曜日だからってよくわからない理由でスコッチを買って帰ったりして。漬け込んでおいた肉を焼き、それをおともに白メシを食う。もう8時の感覚だったがまだ18時過ぎで、昨日からやっているおジャ魔女の20周年記念映画、あれ見に行こうかなんて近場の上映時間を見たら次の回はもう21時50分とあり、それだったらもういいやって酒を飲み始めてしまう。

そうやって家で記憶を飛ばすまで飲むのはどうなんだろう。金曜日の夜更かしと土曜日の早起きが祟ったせいか、時計を見るともう9時半だった。頭が割れるように痛い。ずいぶん飲んだらしいことだけは頭痛という現象として知らしめていただける。半死人のような顔をして日曜天国を聴きながら池袋へ向かう。『魔女見習いをさがして』。案外上映館が少ないなか、ちょうどトーホーシネマズの無料鑑賞ポイントがたまっていたので、久しぶりに池袋。来るたびに街の雰囲気が変わっているというか、しっかりオタク色を全面に出して、その界隈の方々を集客しているのだからすごい。一方で風俗街方面では午前中から地べたに座り込み思いっきり煙草ふかしている人間もいて色々複雑な街だなあと、まだ痛む頭をもたげて上映開始時間まで街を彷徨し、15分前くらいには現地へ入る。そういえばトーホーシネマズ池袋は初めてだ。池袋にトーホーができるらしいですよってネット記事を見たのは5、6年前だったか。調べてみたら今年の7月にオープンしたばかり。出来立てじゃん。出来立てのくせになんか街に馴染んじゃってるじゃん。ずっと前からあった感出ちゃってるじゃん。して、池袋の街アーカイブを全然持ってないことに気づく。もともとこの周辺がどんなだったか全然思い出せない。まあ池袋、いまや正月だけに顔を合わせる親戚の叔父さんくらいの薄い関係性しかないから仕方ないといえば仕方ない。学生の頃は通学路の動線だったこともあり、よく映画館とか行ったものなのだけど。

やっぱり鬼滅の刃のおかげで賑々しい雰囲気。入場者特典の弾もまだまだあるらしいので、これは歴代興行収入1位確定と見てもよさそう。すごいブームだ。鬼滅の刃千と千尋のそれを上回るペースで動員数を積み上げているいることについて、宮崎駿の心中やいかに、と突撃インタビューをする某社の記者が在ったらしい。そういう、マジにヤバイ感覚の人と共存しているという自覚をもって日々の生活を営まなければならない。マジにヤバイ感覚のやつは、案外に存在しているのですから……。

映画は座席が半分埋まる程度。昨日がトーホーシネマズデイだったし、鬼滅の刃もやっているし、何よりおジャ魔女世代、おジャ魔女好きに向けた映画のため、集客範囲が狭いので、まあ半分も入っていれば良い方なのかもしれない。

1期を見直し、2期の#も半分ほど見ていて現在も鑑賞中という状態の中、「あの時の思い出や、あの時の自分に会いに行く」感は相当に薄まってしまった部分はあるけども、大人になってから再鑑賞して気付かされたおジャ魔女というアニメのコアの部分を、90分かけて丁寧に伝えようとしている20周年記念映画としての殊勝な態度にはマジ感謝だし、最後なんかもう、スゲー泣いちゃう。そりゃ泣いちゃうよ、あれやられちゃったら。俺だもん。俺だし、お前だもん。だから両サイドの同世代くらいの女性もすんすんしてた。あなたもたぶん、そうだったんだろうね。

幸せな気持ちで帰ってきてエリザベス女王杯。清々しいくらいまるきり逆の結果で負ける。そんなに金額を張っていなかったので助かったが、負けは負けとして悔しい。酒はすっかり抜けたものの、首筋と背中が妙に凝っている。これから麻婆豆腐を作り、控えめに酒を飲む。まだおジャ魔女が続いていることに感謝。