酒気と選択肢と音楽

どこか、路上か公園か、あるいはひっそりと酒類を提供している店で飲んできたのか、隣に座ってクラクラしている女性の、香水の香りに酒気が混じった匂いがむわっと香ってきて、そういえばこんな匂いを、休みの日の前の夜の電車でよく嗅いでいたよなって思い出す。外で酒、飲みてえな。ひさしぶりに。今の時期なんかは公園のテーブルとベンチで、なんか往来でも見ながら夜、そういうのもなるべく控えてって話らしいし。やーよね。別にそれをしないにせよ、選択肢が奪われてしまうっていうのは気持ちよくはないわけで。別にそうしなくってもいいんだけど、という意味で音楽。はてな。なんの話でしょうか。

音楽を聴けてない。厳密に、音楽無しの生活は耳が聞こえる以上ありえないし、そういった意味では聴いているのだけど。こう、アルバム単位でじっくり聴きこむような体験を、もう長らくできていない。特にそれをする必要はないし、する必要がないからしていないのだけど、最近妙に、そういう音楽体験に対して憧憬を感じることが多い。ラジオやyoutube等で偶然耳にした魅力的な曲、こういうアーティストいたんだという喜び、その曲がサブスクで配信されているのであればダウンロードして、もう少し行くとその曲が入っているアルバムを一応ダウンロードして、というところまではまだ、ギリギリあったとして、そのアーティストの次のアルバムを心待ちにするようなワクワク感、そのアーティストの新作が発売されその日にCD屋に駆け込んで、しゃぶりつくすように楽曲を聴き込んだり、そういう体験が、もうここ10年近くないように思う。エイフェックス・ツインとかオウテカとか、極一部エレクトロニカの数アーティストは新作が発表されたら配信で購入するようにはしているけど、歌モノだとどうだ。スピッツの新曲。aikoの新曲。そういうド定番はなんとなくyoutubeとかで聞くことはあっても、その曲が収録されているアルバムまで聴き込んだり、までは。

別に、そんなことをしなくてもいい。上澄みだけを舐めるように聴いたっていいし、曲の途中で飛ばしてもいいし、スーパーで買い物をしながら何となく聞き流してもいいし、セックスしながら聴いたっていい。なんなら、曲を聴いていないという状況に音楽を感じてもいい。何れにせよ、そういういろんな音楽の聴き方のひとつとして、じっくりアルバムを聴きこむという選択肢があったらいいな、あってほしいな、かつては自分にもあったような気がするんだけどな、という話。それは、具体的にエピソードが乗るから。例えば好きな人にオススメされた曲っていうのは、その楽曲の良し悪しはどうであれ、「好きな人にオススメされた曲」として記憶には残るもので、だからその曲キッカケに記憶を展開できるのだけど、これまでの人生でメチャクチャ聞き込んだアルバムというのは、その一曲一曲に何らかの記憶やエピソードが宿っていて、そして自分、思い出をムシャムシャ食べて燃料にする類の妖怪でありますゆえ。言ってらあ。

とにもかくにも、もう少し現状よりも音楽を聴く時間を増やせればな、という話であって。こういう時、スペシャとか、M-ONとか、ああいう音楽専門のチャンネルのトップチャートをずらっと流す番組は、取っ付きやすかったよなあとか再認識させられたり。とはいえ、いまのトップチャートとかはアイドル関連がほとんどだろうか。それが悪いわけではないけど、どうしても偏りは出てしまうよな。反対にネットでは情報があまりにも氾濫しているので、情報収拾の方法や方針については検討する必要があるけれど、とりあえずは「テン年代の名盤は◯◯選」みたいなまとめが成されているサイトやブログはすぐに見つかるだろうし、その辺からちょっと首突っ込んでみるか。何かオススメや必聴盤があったら年代問わず教えてほしいです。よろしくどうぞ。

髪型と現金と宇宙

髪、サッパリさせてえよなって、ここ4年くらい通っているキュービーハウスに毛が生えたような、いや散髪を行う場所に毛が生えたような表現ってどうなんでっしゃろ、でお馴染みの、洗髪やドライ等の工程を省くことでローコストを実現している美容室へ行こうじゃないかと土曜の夜。毎回いつもと同じでを繰り返しているのだけど、もうそろそろ暑くなって来たし、いつもよりサッパリ、スッキリさせたいなと思う一方、あんまり刈り込みすぎてしまうのもアレよな、後頭部あたりにはちょっと立体感をもたせたいんだよな、という気持ちもあり、とはいえ髪型に関する語彙が恐ろしいほどに乏しいことに加え、もう4年も通っているというのにいまだ髪を切られるということに対して妙な恥ずかしさがあるので、髪型を伝えるのにもしどろもどろ、緊張からか異常に発汗し、その発汗に対する申し訳なさと恥ずかしさとで余計に発汗するという負のスパイラルに陥ること請け合いなのだが、かといって一発でこちらの希望が伝わるであろう写真を出すことにも抵抗があるというか、いやお前ごときがこのモデルの如き良い感じの雰囲気になるわけがなかろうと嗤われているのではないかという自意識過剰っぷりからそうすることもできず、しかしオイお前いつまでそんなこと言ってんだ甘ったれんじゃねえ、誰もそんなことを思わないしお前なんかに興味もねえよ馬鹿がと鼓舞、そうして前日の夜にこんな感じの髪型にしたいよなの画像を保存、それを持って本日、勇んでその地へ向かう。順番が回って来て、今日は髪型を変えたいのですけどと切り出し、こんな感じでと携帯を見せようとしたのだけど、急にそれが恥ずかしくなってしまい口頭の説明を試みたものの全然伝わっていない感じで、引きつった目をしたマスク姿の自分と、いぶかしそうな目をした同じくマスク姿の店員が二人並んでいるのを見たことを最後に記憶がない。なんで写真出さないんだ？ 馬鹿か？ つか、格好つけてねえか。逆に。お前逆に格好つけてるだろオイ。わかってるんだぞお前の手口は。ちゃんとしろ。ちゃんとしろよマジで。って、何だかうまく噛み砕いてくれたのか、当初したかった感じの髪型ではないものの、これはこれでいい感じっていうか、ずいぶんスッキリしたし、ねえ。お礼を言って外に出る。まだ雨は降っていない。

先週5月5日にクレジットカードが停止されてから1週間程度、カードに紐づいているパスモ、クイックペイといった電子マネーも使用できなくなり、久しぶりにしっかり現金を持ち歩く生活を送った。当初はメチャクチャ不便だなあと思っていたが、1週間もあれば慣れるもの。そうは言っても再発行されたカードがようやく届き、携帯に登録し、改札を携帯でピッと抜けたり、近所のコンビニに携帯だけ持って物を買いに行ける生活に戻った時は、ようやく日常が帰って来た感覚になった。生活のレベルを一度上げると、そこから落とすのは難しいというが、一度手に入れた利便性もまた、今回のような不可抗力がない限り手放すのは難しいよなと思わせられる。一方で、現金での生活を久々に送ったことで気づかされることもあった。近所のコンビニに買い物に行った際、トレーに千円札を乗せ会計して頂き、その釣銭を受け取ろうと手を差し出したのだがコロナ禍、トレーに小銭が置かれてスッつって、差し出した自分の右手が哀愁を帯びちゃったりして。差し出した右手とトレーに置かれた小銭の距離の中に、ここ一年くらいの望まない自粛の全てが詰まっているような宇宙を見たり見なかったり。見て、ないか。見てないです。そんなに大きな話じゃなかったわ。ただ、哀しみが横たわっていた。哀しい宇宙が広がっていた。

朝まで遊んで、なんだか優しくなっちゃって街を徘徊してから家に帰り、このまま眠るのもったいねえなと思いながら結局疲れて眠る、そういうのがしたい。コロナ禍以前だってそんなに頻繁にやっていたわけではないけど、そういう眠りが妙に恋しかったりする。長いこと抑制されているからだろうか。サンダルも買ったし、散髪もしたし、いつだって夏、大丈夫。

ハチと金玉と逆転

悪夢、と言うほどのものでもないのだけど、夢の内容に叩き起こされるときは決まって、急になんの脈絡もなくハチが現れる。そうして絶叫し、手足をばたつかせながら目を覚ます。まだ動悸がおさまらない状態でカーテンを少し開けたら曇り空。7時くらいだろうかと思って時刻を確認したら4時半過ぎ。2度寝をしようか迷いながら携帯で漫画を読んだり、ニュースサイトをチェックしてみたり、ぐずぐずしているあの時間に名前をつけるならなに。5時、6時、7時。結局そう。仕方がないので起きる。そういう離床をあまりしたくはないのだけど。

金玉ってどう思います？ いや、突然すみません。それで、金玉ってどう思います？ もうそれなりの期間を生きて来ていて、金玉が2つあることが妙に可笑しく感じられる。これまでも、臓器が体外に露出しているというフォルムに哀愁を感じたことはあったし、そもそも玉袋ってなんだよ、縮んだり伸びたりして、と笑っちゃうことはあったのだけど、金玉が2つあるってなんなんだ。予備か？ 種の保存のために生物が獲得した知恵が予備という結論なのだろうか。ここまで無防備に体外に露出させているというのに。あるいは右脳と左脳のようなソレで、生成される精子の質に差異があったりするのだろうか。右玉で生成された精子で受精した子供は芸術肌に育ちやすいとか。実存主義もクソもない。

そこで、右玉と左玉を入れ替えてみたらどうだろう。いや何がどうそこでなんだ。ところが実際にやってみるとこれがどうも、うまくいかない。というより、可能性を感じる動きはするのだけど、あと一歩が踏み出せないというか。おそらく何らかの管のようなもので繋がれている感じはするのだが、エイヤってあとひと押しすればひっくり返せるところまでは行く。ただそのひと押しをすることによって、人体的なリスクというよりも、世の理を犯してしまうような、そういう類の後ろめたさが邪魔をして思いとどまってしまう。文字通り、何かがひっくり返ってしまいそうな予感がある。人を殺してしまった人間が、人を殺す前の感覚には戻れないように、金玉逆転以前とは、世界の見え方が変わってしまうのではないか。逆転した金玉をぶら下げて街を歩いている。前方からメンインブラックでしか見られないような黒いスーツを身にまとった二人組が接近してくるのを見て悟る。案の定声をかけられ、身に覚えがありますねと問われて頷く。金玉警察の二人に連れられ、遠国の、どことも知らない独房で一生を終える。俺は、金玉を逆転してしまったのだから。逆転した金玉を正位置に戻してももう、あの時には戻れない。帰らざる日々。正位置の思い出。少年の夢。そう、なってしまうかもしれない。そうなりたくないので、あとひと押しのところで引き下がり、正位置に戻す。

土曜日。4時半起きの朝。下半身を露出させ金玉をいじり、金玉をいじった手で金玉の文章を書いている。明日は降るらしいので、洗濯をしようかと思う。

セーラームーンと平均気温とNHKマイル

そして、セーラームーンを見始める。なんで？ 進撃の巨人を一気見してから割と、アニメ鑑賞に関しての機運が高まっている感じがあり、見ようと思っていた『岸辺露伴は動かない』をネットフリックスで。それから何見ようかって、セーラームーン。なんで？ 進撃の巨人、岸辺露伴、セーラームーン、なんで？

リアルタイムで鑑賞していたことはあったのだろうか。多分再放送なのだろうけど、朝6時半くらいからやっている時も起きていたら見ていた記憶はある。それから高校生くらいのときも、キッズステーションとかでやっていたらなんとなく見ていた。とはいえ記憶が点々で、シリーズ通して、これこれこういう流れで、ああいう展開で、そういうところに落ちるのね、というシリーズを通して筋道だった見方をしておらず、せっかくだったら今。Amazonで無印が無料で見られるし、それ以降のシリーズはネットフリックスで見られる、そうなので。あとなんかいま思い出したのだけど、セーラームーンが終わってキューティーハニーが始まる、みたいなタイミングありませんでした？ 記憶違いだろうか。

そうしてとりあえず3話、4話。あらタキシード仮面って1話目から登場すんのね、とかそういう知らざる者の新鮮さも味わいつつ、やっぱメチャクチャ変身はいいよな。変身と、技名を叫んだり、叫んでいる最中に長尺のポージングを決めたり。要するに外連味が。こちらが知覚できる近しい文法としては戦隊モノのそれにかなり近く、それでいて戦隊モノには発生し得ない、少女向けアニメならではのキラキラ感が激マブ。マヂマブ。マヂマブラブリー。なりたい。セーラー戦士になりたい。そういう気持ちになるのがよくわかる。そしてまた、激長のシリーズに足を踏み入れたことになる。ありがてえ。

そうやって穏やかな夜を越えて日曜。どうも、クレジットカードが届かないことにはPASMOにチャージもできないし、切符を買ってどこへやら、というのも乗り気になれないのだけど、外出欲だけはしっかりあるんだからもう。近場かね、妥当な線として。7月並みの気候らしいし。ところで、天気予報等でよく耳にする何月並みの気候、という言い回し。あれは近何年のデータをもって何月並と表現しているのだろうか。どうしたって平均気温が上がっていることは明らかだし、5月初旬に7月並という本日は極端な例にせよ、あの時の5月下旬は、現在の5月上旬くらいにはなっているのではないか。あんまり気温が高くなりすぎて欲しくない身としては、地球にゆっくりと嬲られているような感覚になるが、地球を嬲ってんのは俺ら？ マヂかよラブリーです。日曜の朝から終わってる日本語を書いてしまった。反省。

さても。NHKマイル。これ以降春のG1では安田記念まで特別狙いたい馬も出て来そうにないので、今回は少し買おうか。本命はピクシーナイトで、相手はリッケンバッカーを中心に。半袖で外に出る。風が気持ち良かったら嬉しい。

ゴールデンウィークと不正利用と詐欺

ほぼ、何もしていないゴールデンウィークも最終日。なんとなく散歩をしたり、しながらラジオを聴いたり、あとはだいたい、進撃の巨人のアニメを見ていた。完結したっていうし。漫画の方が。以前、シーズン1をほとんどリアルタイムで見ていたので、その時以来。シーズン2の1話を見て、全然話についていけなかったので、それまでは漫画でおさらいし、シーズン2、シーズン3を見て今。やっぱり世間でここまで話題になっている作品だけに、めちゃくちゃ面白い。「なんか見たことある設定」「なんか知っている展開」、そういうこれまでのエンタメを掠めながら、ここまでストーリーの推進力を失わず、延々面白さを保っているのは驚異的だし、この作品に呪われてしまう人が大勢いることもよくわかる。って言うと妙に上から目線な感じがして気持ち悪いけど、もうフツーに、おもしれ〜なんつって笑っちゃう。これからファイナルシーズン、今秋の新作で原作を完全に補完する形だろうか。楽しみ。何もしていないゴールデンウィークとは書いたものの、こういう、それなりに長編のアニメを一気見できるのは長期休暇ならではの楽しみだし、今年のゴールデンウィークは進撃の巨人と共にあったとするなら、そんなに悪くない休暇だった。

携帯の通知音がキッカケで目が覚めたのか、半覚醒してぼうっとしているところに通知音が鳴り完全に目を覚ましたのかわからないが、朝五時、こんな時間になんだろうと携帯を見ると、gmailからの通知。であればいいやって二度寝して、完全に覚醒してからもう一度再確認すると、カードの不正利用の可能性がある旨が記されているJCBからのメール。問い合わせてみたら朝四時半くらいに楽天モバイルで15万くらいの決済があったらしく、これはあなたが使用したものかと問われる。もちろんそんな覚えはないので違いますと答え、そこから順々にカードの使用履歴を遡る質問を受ける。どうやらその15万の決済以外には問題は無いようだったが、即日カードが使用中止、新規の発行まで1週間から10日程度を要するとのこと。困る。せめてPASMOにチャージだけ、させて頂くわけにはいかないかと懇願してみたが、もうすでに電話中に利用停止の手続きを済ませてしまったとのことで、問答無用かよ、まあ問答無用よなと納得、了承。キャッシュレスに頼りすぎていて、サブカードも持ち合わせていないので、こうなると本当に困っちゃう。連休明けの月初ということもあり、種々引き落としが上手くいかないことも予想できるし、AmazonやApple Payとかは新規カードを入手次第すぐに情報変更ができるが、光回線とか、どうやるんだっけ。水道料金とかに関しては確かカード番号等を記載して郵送する必要がなかったか。電気は？ガスは？ めんどくせえ〜。そもそもコンビニやスーパーで、わざわざ現金出して支払う作業、こんな、数年前だったら当たり前にやっていた作業が、ものすごく面倒なことに感じられる。

そもそも、なぜ不正利用？って、心当たりがあるのだから自業自得。不正利用があった前日、SMSでAmazonからメールがあり、「Amazonプライム会費の支払い方法に問題があります」との記載。以前にも同様の連絡先からの受信履歴があった上、直近一年以内にクレジットカードを替えていたこともあって、今考えてみたら普段からAmazonでモノを買ったりしているのでおかしな話なのだけど、すっかりその気になって住所、電話番号、クレジットカード、セキュリティ番号、諸々を入力してしまった。入力完了するとなぜか米AmazonのTOPに飛び、これもおかしいなとは思ったが、以前に数回、米Amazonで個人輸入したりしたこともあったので、それ以上は何も思わなかった。これは今考えると超アウトで。正直これまで生きて来て、この手のフィッシング詐欺に引っかかったこともなかったし、引っかかるわけないじゃんとも思っていたが、引っかかる人は皆、自分が引っかかるわけないという根拠のない自信を持っているんですという、ありがちな警鐘の通り、ありがちな詐欺に引っかかってしまった。無念。冷静になって考えたらSMSでそんなメールが来るわけないし、ネットで「Amazonプライム会費の支払い方法に問題があります」と調べてみたら出るわ出るわ。なんで引っかかったかなあ。

まあこれも勉強。特になんのオチもつかない話。どうもやりきれないので今日ばかりは、という気持ちでかしわ記念。結構メンバーが集まった感がある。馬券はタイムフライヤーの単勝と枠連流し。計2,000円。さらにやりきれなくなるかもしれない。