同じ靴を履いてる

生活について

浜松町と辛夷と犬の威嚇

人生に無駄な時間など一秒もないし、逆に言えば全部無駄、という考えはどこか常に持っており、そういうルールのもとで一応、毎日リングに上がっているわけだけど、ソファーに腰掛けて何となく手に持った携帯で、どこかへ行きたいなと思いながらグーグルマップを見るものの、行くあてがまったく思い当たらないというこの時間は、先の言に反するようなことではあるのだが、やはり無駄であるように感じてしまう。なんか海見たいな、という結論に達し埠頭、そこを目指すことにして芝の方面へ向かう。それにしても公共の交通機関を使用することに抵抗感がなくなっているのはよくないな。前回の緊急事態宣言下においては、仕事以外では自転車や徒歩での移動を心がけていたのだけど、さすがにここまで長引くと気が緩んできてしまうのも仕方ないか。一応、最低限の予防策は張りつつ、丸ノ内線、山手線を乗り継いで浜松町へ。

駅を降り竹芝桟橋の方面へ向かう途中、イヤホンで流していた日曜天国では木蓮の花が咲き始めているという話題が展開されており、中澤アナが浜松町で見ました、というのでちょうど、ちょうどじゃん、今そこにおりますよって左手の方をふと見たら、まさに中澤アナがお話しされていた木蓮スポットがそこにおわしまして、吉兆めいた何かを感じつつ、海に近いせいもあってか風が強く、信じられないほど冷たく、当初の海を見に行くという目的は反故にして、まあいいよ俺、木蓮見たし何つって駅の方へ戻る。しかしどうやらラジオを聞き進めていたらあれは木蓮ではなく辛夷ではないか、とのことで、まあいいよ俺、辛夷見たし。それにしても、ラジオを聞いていなかったら、辛夷が花をつけていることに気が付いただろうか。もう少し引っ掛かりを持てる対象を増やし、街を華やかにしていきたい。

駅へ着いたものの、割と寒さにも馴れてきた感じもあって、海の方向へまた戻るのも何なので、大門を抜けて増上寺を突っ切り、東京タワーの方面へ向かう。赤羽橋の交差点で信号待ち、犬の散歩をしている人が道路を挟んで向かい合わせになっていて、ふたりは顔見知りなのか手を振りあっている。犬の方も向こう側にいる犬を発見し、やや興奮気味に飼い主の周りを忙しく回っている。信号が青に変わり、犬同士の邂逅の瞬間を見たく、うしろからゆっくり着いていったところ、距離が縮まるにつれて、明らかに喜びや嬉しさからくる類の興奮の仕方ではない感じが明らかになり、お互いにものすごい剣幕で威嚇し合っていた。俺は芝の方まで、辛夷の花と東京タワーと犬の威嚇を見にきた、ということで溜飲を下げ、田町から電車に乗り、乗り換えの新宿で適当に昼飯を済まし、そのまま家に戻る。

少しギターを弾いたりして、夜はR-1だからというわけのわからない理由で、チキンナゲットなどというわけのわからない料理、の仕込みを行う。えらい寒い。来週は仕事関係で憂鬱になりそうな案件が多いので、今日は笑わせてくれ、決勝進出者の方々。その後に聴くであろうサンドリよ。