同じ靴を履いてる

生活について

靖国神社と鬼滅の刃とスパイの妻

太田胃散を飲んで寝たおかげか胃痛も頭痛もなく、よい頃合いに目が覚める。よい頃合いだろうが空はよい感じではなく、しっかりめに降っている。予定もないし、することもないし、だからと言ってテキトーに外に出て散歩を繰り返す土日ってのもどうなんだろう。そんなこと考えながら電車にゆられちゃっているし、ここはもう四ツ谷。冷え込んでいる。寒いと言ってもいい。この前まで暑い暑い言ってなかったっけ。もう寒いがでちゃってやんの。先週は四ツ谷の南側、赤坂から外苑にかけて歩いたし、そしたら今日は北に行っちゃろって、そういえば靖国神社って行った記憶ないよなと、なんとなくの目的地を決定する。靖国通りをまっすぐ。市ヶ谷駅を通過し、日大を脇目に歩いて行くと、やはり寒さのせいだろうか、急な尿意に襲われる。まあ靖国さんくらいデッカな神社であれば公共のトイレもあるだろうと歩みを早める。ようよう神社に到着した頃には割と急を要するというか、とても英霊にご挨拶をしている場合ではないというか、寧ろ俺の英霊で膀胱がパンパンというか、入り口のところにトイレがないってどうなってんだ靖国さんはと逆ギレをかますほど荒んでしまっているというか、要するに動転していて、気が、だから小走りであちこちをよたよたやっていると駐車場の界隈に公共トイレを発見しダッと駆け込んで足したんですよ用を。ギリギリまで我慢して間に合った瞬間、あれほど生を実感できることってなかなかないな。それは裏を返せば、漏らしてしまえば死んでしまうからという事なのだろうか。確かに、みんな頑張って漏らさないように生きている。あるいは、生きるために漏らさないようにしているのかもしれない。

さてすっきりして靖国神社。詣でるも詣でないも己次第だが、特に他意もなく、用を足すという用を済ましたので禄にご挨拶もせず境内を抜けて飯田橋方面へ。依然として雨。さらに歩いて水道橋、後楽園。この辺りで飯でも食おうかと周辺をぶらつくも、果たして自分が何を食べたいのかがピンとこないので後楽園から丸ノ内線に乗って帰宅、してからはなんか、久しぶりに風来のシレンをやったり、思い立ったように鬼滅の刃の映画を観に行ったり。

凄まじい盛況ぶりである。自粛期間のおかげで、パチンコのゴムが限界まで引っ張られていたということもあるのだろうが、それにしても過去に経験がないほどの混雑。当然の満席。お一人様、カップル、子連れ、ぜんぶいる。映画それ自体よりも、この現象について考えたくなるような映画体験だった。映画の内容は、まあ面白いけどっていう。面白いです。

映画という土俵だと本日観た黒沢清監督作『スパイの妻』が圧倒的。比べるようなもんでもないですが。どこ切り取っても黒沢清映画というか、照明の使い方、長回しの差し込み方、音の使い方、役者の表情の捉え方、浮世離れした乗り物の描写、分厚い金属の扉、ジメッとしたコンクリートの質感、どれもこれもどこまでも映画的で、映画を観ているというより映画に抱かれている感覚がある、とても素敵な体験だった。

いい映画を観たら歩きたくなる。そうやって結局、土曜に引き続いて日曜も散歩をしてしまう。悪いことではない。寧ろいいことなのかもしれない。ピカデリーから南東に、新宿御苑で久々の秋晴れを楽しんだり。もうそろそろ秋華賞。デアリングタクトが三冠なりますでしょうか。静かな午後。この部屋だけが静かです。