同じ靴を履いてる

生活について

平成映画ベスト10

平成の記録として、平成に生まれ平成を生きた記録として、一先ずの区切りとして。

以下、選出のルール。

  1. 平成に日本の映画館で公開された映画(名画座リバイバル除く)
  2. 同一監督は一作品までの選出
  3. 同一シリーズは一作品までの選出

上記3点を最低限の縛りとして、リアルタイム性を重要視する為、映画館で鑑賞している映画の優先度を高くした。短評は書いてはいるが、ネタバレは一切なし。

以下、年代順に。

 

✳︎

 

レオス・カラックスポンヌフの恋人』(平成3年/フランス)

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あらすじ

パリのポンヌフ橋で暮らす天涯孤独な大道芸人アレックスは、失明の危機と失恋による心の傷に絶望する女子画学生ミシェルと出会う。2人は恋に落ちるが、ミシェルには両親から捜索願いが出されていた。

※映画.comより引用

予告編


映画『ポンヌフの恋人』予告編

 18か19歳の時分、名画座で鑑賞。痛いぐらい刺さる映画だった。美しく、絶望的で、しかし鮮烈な救済があった。あるように映った。童貞だった僕にも、童貞を飛ばした僕にも等しく。憧れの愛、夢の呪い、俺の恋空として。

 

 

北野武ソナチネ』(平成5年/日本)

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あらすじ

北嶋組幹部・村川は、組長から沖縄の友好団体・中松組が敵対する阿南組と抗争しているので助けてほしいとの命令を受けた。村川の存在が疎ましい幹部の高橋の差し金だったが、結局村川は弟分の片桐やケンらを連れて沖縄へ行く。沖縄では中松組幹部の上地や弟分の良二たちが出迎えてくれるが村川らが来たことでかえって相手を刺激してしまい、抗争はますます激化。ある者は殺され、ある者は逃げ出す。生き残った村川、片桐、ケン、上地、良二の五人は海の近くの廃家に身を隠した。ある夜、村川は砂浜で女を強姦した男を撃ち殺した。それを見て脅えもしない若い女・幸はいつのまにか村川と一緒にいるようになる。東京に連絡を入れても高橋がつかまらず、イラつく片桐をよそ目に、海辺でロシアンルーレットや花火や釣りに興じる村川。だが殺し屋などによってケンも片桐も上地も殺されてしまう。やがて沖縄にやって来た高橋を村川は捕まえ、阿南組と組むために村川たちを破門にし、中松組を解散させようと企んでいることを聞き出して彼を殺す。そして手打ち式の会場に襲撃をかけるが、生き残り、幸の持つ廃家へ向かう途中、村川は鈍口をこめかみに当て自ら命を絶つのだった。

※映画.comより引用 

 予告編


映画「ソナチネ」劇場予告

 選出した中では唯一映画館で観ていない作品。北野武映画を入れたいという気持ちが先ずあって、それじゃあ北野映画の中で何を入れようかと迷った末が今作。話自体もさることながら、ワンシーンワンシーンがとにかく鮮烈で隙がない。それどころか、意図的に隙を作り出しながら、その隙さえも映画の一機能として組み込んでしまう緻密さ。ふと北野映画が観たいなと思った時に、いつも最初に手が伸びる作品として。

 

 

平山秀幸学校の怪談2』(平成8年/日本)

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あらすじ

塾の講師をしている理香は教え子たちを連れて、春休みの集中合宿のために自分の故郷に帰ってきていた。合宿に参加するのは塾の生徒たちのほか、理香の弟の司をはじめとする地元の子供たちだった。理香は都会の子供と地元の子供との交流を目的にこの合宿を計画したのだが、都会の塾組と全くソリが合わない司は、ことあるごとに衝突を繰り返している。宿泊所である蓮正寺の真行おしょうは、お寺の隣にある南小学校で数十年前に起きた

映画.comより引用

予告編


映画「学校の怪談2」予告 Gakkou no Kwaidan 2 (1996) trailer

 学校の怪談シリーズをどうしてもねじ込みたいという気持ち有りき。おそらくはアメリカを源流としたジュブナイル・ホラーを地で行く一作で、僕のノスタルジーの源泉にもなっている。また、弟と映画を通じてコミュニケーションが出来たのは今作が初めてだったように思う。映画としての出来云々より、あの時の記憶として。

 

 

チャウ・シンチー少林サッカー』(平成13年/香港)

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あらすじ

かつて人気サッカー選手だったが、今は雑用係になっているファンは、少林拳を愛する青年シンと出会い、ブロック塀を蹴り崩す彼の脚力を見込んで、サッカーを教え込む。シンは少林拳仲間を集めてチームを結成。一方、敵チームはハイテク・トレーニングと筋肉増強剤で試合に備えていた。

※映画.comより引用

予告編


少林サッカー(日本語吹替版)(プレビュー)

 初見は小学校の時、テレビで。まだまだ自分一人で映画館に行ける年齢ではなく、この時代は基本的にテレビ鑑賞がメイン。アジア映画も一本は入れたかったので、大好きなチャウ・シンチー監督作から。負け犬達が立ち上がりかつての光彩を取り戻す、手垢のついたストーリーラインながら、こんなにも興奮できる。兄弟の覚醒シーンは何度見ても最高だし、負け犬の強烈な負け犬っぷりも、香港映画っぽくて良い。

 

 

⑤デイヴィッド・R・エリス『スネーク・フライト』(平成18年/アメリカ)

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あらすじ

「数千匹の蛇がジャンボジェット機を制圧する」という奇抜なアイデアを元に「デッド・コースター」「セルラー」のデビッド・R・エリス監督が作り上げたB級パニック・アクション。組織犯罪の重要証人となった高校生の暗殺目的のために飛行中の旅客機に数千匹のヘビが放たれる。証人護送のため、その旅客機に同乗していたFBI捜査官(サミュエル・L・ジャクソン)がパニック状態の機内で対応を迫られる。

映画.comより引用

予告編


Snake Flight JPN Trailer

 この辺りから一人で映画館に行くことも多くなった。バカ映画といえばバカ映画である。但し、前時代のモンスターパニック映画を正確に継承、ブラッシュアップし、マジで丁寧に作るとこんな傑作が生まれる。バカ映画であることに異論は無いが、心の底から大真面目な映画。監督のデイヴィッド・R・エリスは早逝してしまったことが非常に惜しまれる。

 

 

 ⑥白石晃士『オカルト』(平成21年/日本)

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あらすじ

ノロイ」「口裂け女」などで知られるホラーの鬼才・白石晃士が、オカルト・ドキュメンタリー番組を製作する人々のスリルや恐怖を描いた意欲作。「アカルイミライ」「トウキョウソナタ」の黒沢清監督や漫画家の渡辺ペコなどが特別出演している。3年前にとある観光地で起きた通り魔殺人事件に興味を持った映画監督の白石は、事件の唯一の生存者で現在はネットカフェ難民の青年・江野に取材を敢行する。

映画.comより引用

予告編


予告編:『オカルト』(Trailer:『occult』)

 映画の一挙手一投足が非常に綿密であり、しかし見ようによってはバカバカしく映るほどのパワープレイも見ることが出来る。この映画が示す様々な問題提議を語るのも良いが、何より圧倒的なのはラストシーンで、あのラストシーンがこの映画をもう一段階あげているというか、映画として最高の仕掛けとなっている。毒にも薬にもならない作品が多い中、ここまで呪詛にも救済にもなり得る映画を撮り切っていただき感謝。

 

 

宮崎駿風立ちぬ』(平成25年/日本)

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あらすじ

宮崎駿監督が「崖の上のポニョ」(2008)以来5年ぶりに手がけた長編作。ゼロ戦設計者として知られる堀越二郎と、同時代に生きた文学者・堀辰雄の人生をモデルに生み出された主人公の青年技師・二郎が、関東大震災や経済不況に見舞われ、やがて戦争へと突入していく1920年代という時代にいかに生きたか、その半生を描く。幼い頃から空にあこがれを抱いて育った学生・堀越二郎は、震災の混乱の中で、少女・菜穂子と運命な出会いを果たす。やがて飛行機設計技師として就職し、その才能を買われた二郎は、同期の本庄らとともに技術視察でドイツや西洋諸国をまわり、見聞を広めていく。そしてある夏、二郎は避暑休暇で訪れた山のホテルで菜穂子と再会。やがて2人は結婚する。菜穂子は病弱で療養所暮らしも長引くが、二郎は愛する人の存在に支えられ、新たな飛行機作りに没頭していく。

映画.comより引用

予告編


『風立ちぬ』予告編特別フィルム 4分13秒

宮崎駿監督作として。正しくなさ、矛盾、誤解、偏愛、そういった諸々を、フィクションとして強靭に物語る今作は、宮崎駿のキャリアの総決算として最高の出来であったし、一つの到達点のように思えた。結果的に引退は出来なかったが。史実さえも物語の要素として消化することで、虚構の強度を一段と高めている。さすがに周知されているだろうが、宮崎駿はずっとマジでヤバイ奴なのである。

 

 

ジョージ・ミラー『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』(平成27年/豪・米)

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あらすじ

荒廃した近未来を舞台に妻子を殺された男マックスの復讐劇を描いた「マッドマックス」(1979)のシリーズ第4作。85年の「マッドマックス サンダードーム」以来30年ぶりの新作となり、監督・脚本は過去3作同様にジョージ・ミラーが担当。過去3作でメル・ギブソンが扮した主人公マックスを、新たに「ダークナイト ライジング」「インセプション」のトム・ハーディが演じた。資源が枯渇し、法も秩序も崩壊した世界。愛する者を奪われ、荒野をさまようマックスは、砂漠を支配する凶悪なイモータン・ジョーの軍団に捕らえられる。そこへジョー配下の女戦士フュリオサらが現れ、マックスはジョーへの反乱を計画する彼らと力をあわせ、自由への逃走を開始する。

映画.comより引用

予告編


映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』予告編

待った。公開日の半年くらい前に特報を見た。何だか凄い映画が来る予感がする。マッド・マックスシリーズはすべて観てはいるが世代では無い為、熱狂的なファンでは無い。ただ一本の映画として凄まじい気配を感じていて、公開日に観に行き度肝を抜かれた。アクション映画だけでなく、映画の歴史の中継点として今後語られることになるべき作品であるように思う。

 

 

片渕須直この世界の片隅に』(平成28年/日本)

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あらすじ

第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞したこうの史代の同名コミックを、「マイマイ新子と千年の魔法」の片渕須直監督がアニメ映画化。第2次世界大戦下の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前向きに生きようとするヒロインと、彼女を取り巻く人々の日常を生き生きと描く。昭和19年、故郷の広島市江波から20キロ離れた呉に18歳で嫁いできた女性すずは、戦争によって様々なものが欠乏する中で、家族の毎日の食卓を作るために工夫を凝らしていた。しかし戦争が進むにつれ、日本海軍の拠点である呉は空襲の標的となり、すずの身近なものも次々と失われていく。それでもなお、前を向いて日々の暮らしを営み続けるすずだったが……。

映画.comより引用

予告編


映画『この世界の片隅に』予告編

正直この作品が一番入れるか迷った。あまりにも日本映画が多くなってしまうし、アニメ映画では『風立ちぬ』を入れてしまっている。それでも捨て置けなかったのは、日本の戦争映画として、これまでの流れを完全に刷新してしまうほど画期的な作品であったからである。原作の力もある。ただ、アニメ化することに大きな意義がある映画だった。今を生きている、僕を含めた無数のすずさんはこの映画に救済されたであろうし、これからもこの映画が手を差し伸べて行くだろう。

 

エドガー・ライトベイビー・ドライバー』(平成29年/英・米)

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あらすじ

ショーン・オブ・ザ・デッド」「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」などで知られるエドガー・ライト監督が、音楽にのりながら驚異の運転テクニックを発揮する若きドライバーの活躍を描いたオリジナル作品。天才的なドラインビングテクニックで犯罪者の逃走を手助けする「逃がし屋」をしているベイビーは、子どもの頃の事故の後遺症で耳鳴りに悩まされているが、音楽によって外界から遮断さえることで耳鳴りが消え、驚くべき運転能力を発揮することができる。そのため、こだわりのプレイリストが揃ったiPodが仕事の必需品だった。ある日、運命の女性デボラと出会ったベイビーは、逃がし屋から足を洗うことを決めるが、ベイビーの才能を惜しむ犯罪組織のボスに脅され、無謀な強盗に手を貸すことになる。

映画.comより引用

予告編


『ベイビー・ドライバー』2018年1月24日Blu-ray &DVD & UHD発売/同日Blu-ray&DVDレンタル開始

この映画の本当に痺れたところをネタバレなしで書くことは不可能で、あえて書くとすればエドガー・ライト監督作の、ひとまずの集大成として、本当に救われた映画であった。少なくとも僕にとっては。観たタイミングもあるのだろうが、その観たタイミングまで含めて。ミュージカル風のカーチェイスも斬新で観てて気持ちが良く、それがあからさまな斬新さとして展開してないスマートさも品が良い。

 

✳︎

 

というわけで10本。自分ですら何でこれが入らないんだ、という気持ちがある。そのような作品が山のようにある。列挙をすれば枚挙に暇がないし、それをやってしまったら10本を選出した意味が薄れてしまうので、敢えて入れようか悩んだ映画群は書かない。

平成、良い映画だらけだ。ありがとう。令和でも引き続きよろしく。