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その辺の最果てで頑張れ

応援こそが 今日も今日とて

2016年映画ベストテン&ワースト

今年映画館で観た新作映画80本程度。ここ数年は大体こんなもんだと思います。そんなわけで早速。

 

ベスト

 

10位 青空エール

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映画としてはテンポも悪いし、三木監督の演出はあんまり好きになれないことも多くて、文句を言い出したら切りがない映画なのだけど、どうしても嫌いになれないというか、寧ろ好き。応援する側の方にフォーカスしてはなしが進んで行くので、頑張れフェチの自分には響く。あと、間違いなく映画雑誌等でランキング入りするタイプの作品ではないため、なんとなくここに入れてあげたかった、という気持ちもある。

 


「青空エール」予告

 

 

9位 ロスト・バケーション

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丁度シネコンでかかっているような公開規模が大きめの洋画がどうにも煮え切らない作品が立て続いていた時期で、それを吹き飛ばしてくれるような勢いに寄り切られた格好。ジャウム・コレット=セラ監督は毎回それなりに面白い映画を撮ってくれるものの、『エスター』以降ドンピシャでハマった作品がなかったので、今作は久々のヒット。いやこの部分いる? というくだりがあったりもするのだけど、それを補って余りある圧倒的なパワープレイと綿密に練られたグラフィカルな演出が素晴らしく、劇中、最高のタイミングで繰り出される最高の「ファックユー」で完全にエクスタシー。痛みもハッキリ伝わってくる生々しい映像、ビックリ演出もたまらない。映画館でびっくりしすぎて何度も椅子から飛び跳ねてしまった。

 


映画 『ロスト・バケーション』予告 

 

 

8位 イット・フォローズ

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対象者をどこまでも追いつめ殺戮する”それ”。セックスをすることで”それ”がうつり、セックスをすることで”それ”をうつすことができる。この設定がめちゃくちゃ面白く、しかしアイディア一発で終わらせない奥行きもあった。いろいろと考察しがいがある。しかしそんなことより”それ”が怖くて怖くて仕方がない。でも笑っちゃうという絶妙なバランス。”それ”の追尾速度が走ったらとりあえずやり過ごせる程度、というもの映画を盛り上げる要素としてプラスに働いていた。不穏なBGMは確かに良かったが、多少うるさすぎるのはご愛嬌。監督のデヴィッド・ロバート・ミッチェルは今作が監督二作目で年齢も四十そこそこ。早く次作が観たい。

 


死ぬまで憑いてくる恐怖!映画『イット・フォローズ』予告編

 

 

7位 シン・ゴジラ

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わざわざ俺が、という気持ちもあり入れようか迷ったものの、やっぱり相当興奮させられたので。特に何も言うことはないくらい語り尽くされている今作だが決して優等生タイプの映画ではなく、にも拘らずここまで評価されている。庵野お前。

 


『シン・ゴジラ』予告

 

 

6位 アイアムアヒーロー

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ここ数年の日本映画で、ハリウッド映画と同じような土俵に立ちつつ、ここまでしっかり迫力があって面白かった映画は記憶にない。まずアクション映画として一級の出来で、その上で銃社会の国ではないゾンビ映画としてのオリジナリティも確保出来ているすごさ。正直舐めてかかっていたので叩きのめされた。

 


「アイアムアヒーロー」予告

 

 

5位 何者

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この映画に対してこんなことを言うのはどうなんだろうという気持ちもありながら、「一周まわって」すごく面白かった。今を輝く若手俳優・女優の演技のアンサンブルは見物で、映画としての面白さがグンと増している。特に佐藤健は白眉。正直あまり好きな俳優ではなかったが、今作では完全にやられた。目で語る芝居の凄みを感じる。反面、せっかく役者陣が表情で語る素晴らしい演技を見せているのに、やや説明的すぎる台詞回しや展開も多く見られその点は残念だった。しかしそんなことは些事であり、みんなきちんと追い込まれたり、頑張ったりしていて、どこをどう切り込むかによって大分見え方が変わってくる映画であることには間違いないが、個人的にはとても好きな映画だった。

 


『何者』予告編

 

4位 ディストラクション・ベイビーズ

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平成の菅原文太とでも言えば良いのか、柳楽優弥のスター感が半端じゃない。彼が画面に出ているだけで様になってしまう顔面力と佇まい。冒頭の柳楽優弥の顔面一発でKO。いかにも自主映画上がりという質感の映画で、説明等は大胆に省略されているのだが、そもそもこの映画に対して説明もクソもない。ただ純粋な暴力が描かれており、その純粋な暴力に対して意味規定と解釈で切り刻むネット住民等に対する激烈なカウンターをぶち込んでいる。素晴らしい。ヤバい奴はヤバい奴、暴力は暴力、それ以上でも以下でもない。それを表情で語り切ってしまう柳楽優弥。どうかしている。

 


映画『ディストラクション・ベイビーズ』予告編

 

 

3位 貞子vs伽倻子

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今年に入った段階では一番期待をかけていた今作。実際観てみたら期待以上で恐れ入った。非常に漫画的なキャラクター配置になっているが、何も文句が出ないほど面白く、かつきちんと怖いところは怖かった。「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ」は今年公開された映画の中でも一二を争う名台詞。ラストもそりゃそうなっちゃうだろ感が突き抜けていて最高。あとは特に『呪怨』シリーズはリアルタイムで観ていたのでこのような映画が作られたことに対する感謝の気持ちもある。どうしても上位に入れたかった。

 


映画『貞子vs伽椰子』予告編

 

 

2位 ヒメアノ〜ル

 

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映画について書こうとするとどうしても核心に触れなければ語り尽くせない部分があるため割愛するが、この森田剛演じる森田という男がしばらく忘れられなかった。今でも思い出す。それくらいなんと言うか、刺さった。森田剛の怪演は言わずもがな。観賞後は「森田お前、どうして!」という気持ち。やるせない。ラスト森田が発するある台詞は涙無しでは語れない。

 


V6森田剛主演『ヒメアノ~ル』予告編

 

 

1位 この世界の片隅に

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少しだけこのブログでも書いたが、この映画、一言で言えば奇跡で、現状全国あらゆる箇所で奇跡を目撃出来る状況になっている。喜ばしいことです。大変に。大袈裟ではなく、邦画史上に残る傑作。もう語ることはなにもない。何もかもが完璧であり、完璧が完璧を支えている。個人的に今年の映画館納めはこの作品にする予定。何度でも観れる。

 


映画『この世界の片隅に』予告編

 

 

と、まあ今年はやはり邦画が大変な当たり年で、ほとんどが邦画という結果。一応理由があって、どうしても近くのシネコンで映画を観ることがほとんどなため、公開規模が小さめの洋画をあまり観れていないという状況がある。来年はもう少し色んな映画館で映画を観に行けたらなあと思う。

 

また、選外になった作品でも今年は傑作が本当に多くて選ぶのに困った。例を挙げるとまず『ズートピア』。これは相当話題になったのでわざわざ俺が、と言う気持ちもあり選外。他、洋画だとアウシュビッツの悲劇を画期的なアプローチで描いてみせた『サウルの息子』、全編PC画面ではなしが進むのがフレッシュだった『アンフレンデッド』あたりは入れたい気持ちが強かったし、実際『青空エール』なんかよりどう考えても『サウルの息子』の方が映画としての出来は間違いなく上な訳だが、そこはなんとなく退いてもらった。

邦画だと綾野剛がとにかく最高な『リップヴァンウィンクルの花嫁』、高い頑張れ力を誇る『永い言い訳』を筆頭に、サイタマノラッパーでお馴染み入江悠監督『太陽』も良かったし、黒沢清の演出はどうかしてると感じさせられた『クリーピー偽りの隣人』、今年一番の大ヒット作『君の名は』ももちろん良かった。

一応劇場で鑑賞した映画のみを対象にしているので選出こそ出来なかったけれど『ちはやふる』も凄く良かったし、改めて今年は邦画が大当たりだったなあと。良い評判だけ聞いて観に行けなかった作品も多くあったし、来年も引き続き邦画には期待が持てそう。それにしても昨年の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』といい今年の『この世界の片隅に』といい、とてつもない傑作がぽんぽん出て来ている最近、逆に来年大丈夫なのかという不安はある。しかし多分、大丈夫なんだろう。

 

 

ワースト

 

大変な傑作が公開されている一方で、駄目な作品だってちゃんとある。

 

ワースト 真田十勇士

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心底腹の立つ映画だった。観ていて本当に哀しかったし、憤りを感じたし、残念でならなかった。仮にもものづくりに携わっている方々が、この映画に見られるような志の低さで、虚構自体を題材にした映画を撮っていることが理解出来ない。嘘と真というお話を語る上でもっとも繊細で重要な問題を題材にしているんだから、せめて真面目に映画を作ってくれと思う。コメディ要素を入れるなとかそういう意味でなく、真面目にやってくれ、お願いだから。俺が死んで爆発してしまうから。

 


映画『真田十勇士』予告編(90秒)

 

 

本来ワーストって可愛げがある作品を推したいんです。例えば今年だったら『僕だけがいない街』なんかとても素晴らしい珍作になっていて、これは是非ワーストの称号をあげたいなと思っていたりしたのですが、この『真田十勇士』は本当に腹が立って仕方がなかったので止む無くワースト。他、可愛げがある珍作という意味では『キューティーハニー ティアーズ』という一体誰に望まれて今この時代にキューティーハニーの実写を撮ったのだろうかという誰得映画も素晴らしかった。映画館、オッサンしかいなかったぞ。

 

やはり見逃している作品も多くあるので来年はもう少し観に行けたらと思う一方、最近の生活だとこれ以上行くと本当に他のことに回す時間が少なくなってしまうので、まず生活基盤を変えた方がいいなという気持ちの方が強い。

それからいつも思うこと。世の中良い映画が公開されすぎじゃいないですか?

それでは。